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FX10 スーパーコンピュータシステム「大規模 HPC チャレンジ」採択課題

2017年度 採択課題決定

 このたびは、お申し込みをいただきどうもありがとうございました。以下の基準による厳正な審査のうえ、課題採択をさせていただきました(順不同)。

  • 自作コード、またはオープンソースプログラムによる研究であること。
  • 計算結果が科学的に有用、あるいは社会的なインパクトがあると考えられること。
  • 本センターの運用、ユーザーにとって有用な情報を提供すること。
  • 4,800 ノードの利用を目標としていること。
  • 計画に実現性があり、短時間で効果を示すことが可能であること (一回の利用期間は最大 24 時間)。

第1回採択課題

課題名 CM-RCM 法及び Column-wise ELL 疎行列格納法による並列多重格子法ソルバーの最適化および性能評価
代表者名(所属) 中島 研吾(東京大学情報基盤センター)
連立一次方程式の反復解法,前処理手法としての多重格子法は,問題規模が増加しても収束までの反復回数が変化しないスケーラブルな手法であり,大規模問題向けの解法として注目されている。並列計算においてもその効果が確認されている。申込者は,Sliced ELL 法をILU 型前処理に世界に先駆けて導入することによるノード単体性能の向上,更にコア数が増加した場合,特に粗いレベルにおける通信の改善のためにhCGA 法(Hierarchical CGA)を提案し,Oakleaf-FX 4,096ノードを使用して高いスケーラビリティを得られることを示し,内外で高い評価を受けてきた。これまでの研究ではノード内並列化にRCM 法を使用しているため,多スレッド時の同期オーバーヘッドの影響が大きい。また row-wise ELL matrix storage を使用しているために,CRS 法の 2 倍以上の記憶容量を必要としていた。
本提案では, CM-RCM 法の導入により,同期オーバーヘッドの削減とともに,column-wise ELL matrix storage の導入による記憶容量の削減,計算性能向上を図るものである。

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第2回採択課題

課題名 ICCG 法向け多色順序付けアルゴリズムの階層的並列化手法の提案
代表者名(所属) 河合 直聡(東京大学情報基盤センター)
多色順序付け法は CG 法と併用される IC 前処理の並列化を行うために広く利用されている。多色順序付けを行うアルゴリズムは Greedy や代数多色順序付けなど複数存在しており、ICCG 法の収束性との関連性も広く議論されている。ただし、これらの色付け手法は並列化されておらず、より大規模な問題に対応することができない。本申請では申請者が現在評価を行っている多色順序付けアルゴリズムの階層的な並列化手法の評価を目的とする。
申請者らが提案している階層的な並列化手法は、既存の多色順序付け法に適用可能な汎用的手法である。また、大規模並列環境でも少ないメモリリソースで並列化可能である。本申請ではこの提案手法が ICCG 法に与える収束性および1反復辺りの計算性能の評価を目的とする。具体的には電磁場解析、量子力学の固有問題を対象として、提案手法を適用した Greedy アルゴリズム、代数多色順序付けで並列化した ICCG 法の性能を評価する。

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第3回採択課題

課題名 FrontISTRによる構造物-地盤連成系の地震時挙動解析
代表者名(所属) 山田和彦(鹿島建設株式会社)
地震が生じた場合,構造物は地盤内の波動伝播の影響を受け非常に複雑な挙動を示す。その挙動を数値解析により推定することは,構造物の安全性を確認するために非常に重要である。特に,原子力発電所建屋については,マグニチュード9クラスの非常に大きい地震が発生した場合においても,安全性を確保する必要がある。
そこで,原子力発電所建屋およびその周辺地盤を3次元有限要素にてモデル化し,地震発生時の各部の挙動を詳細に計算する。この時,建屋の底面の一部が地盤から離れる可能性があり,その影響を考慮する。
実施する計算では,検討対象を約1200万要素(約3700万自由度)の有限要素でモデル化する。5秒間の地震時挙動を解析するために,時間刻み0.00025秒とした20,000ステップの非線形動解析をFrontISTRにて実施する。
本研究は,東京大学奥田洋司教授と実施中の共同研究「構造物-地盤連成系の大規模地震応答解析の高速化に関する研究」の一部として実施するものである。

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