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若手・女性利用採択課題

平成27年度 スーパーコンピューター若手・女性利用者推薦採択課題

 このたびは、お申し込みをいただきどうもありがとうございました。以下の基準による厳正な審査のうえ、課題採択をさせていただきました(順不同)。

  • スーパーコンピューターを利用することで学術的にインパクトがある成果を創出できると期待される点
  • 大規模計算、テーマの重要性
  • 既発表文献

平成27年度(前期)

課題名 ポスト「京」100ナノ電子状態計算むけの超並列行列ソルバー開発
代表者名(所属) 井町 宏人(鳥取大学 工学研究科)
 「京」及びポスト「京」を想定した、超大規模(最大100ナノスケール)電子状態計算むけの超並列行列ソルバーを開発する。本研究では、(i)行列ソルバー・ミニアプリの開発および公開、(ii)星らが開発している電子状態計算コードELSESに接続し有用性検証、を同時に行う。小~中規模(10万次元程度まで)の一般化固有値問題を扱い、計算資源の制限から100万次元規模では難しい詳細な精度・経過時間の解析を行う。
 10万次元程度の問題を高速に求解できる一般化固有値問題ソルバの開発は、実アプリの観点から重要である。計算機科学の観点からも価値があると判断するため、採択に値する。

課題名 ppOpen-ATを用いたOpenACCプログラムの最適化に関する研究
代表者名(所属) 大島 聡史(東京大学 情報基盤センター)
 エクサFLOPS級のスーパーコンピュータの実現を間近に控えた今日、既存のマルチコアCPUだけではなくGPUやMICなど特徴の異なるアーキテクチャの活用についての需要が高まっている。本研究では、ppOpen-ATを用いたOpenACCプログラムの最適化を行う。OpenACCにおけるプログラム最適化についてもOpenMPと同様にループ構造の変形などが効果を持つことが知られており、ppOpen-ATの持つ機能が活用できる期待が大きい。そこで、すでにppOpen-ATにより性能最適化が行われているppOpen-APPL/FDMプログラムを対象としてppOpen-ATを用いたOpenACCプログラムの最適化に取り組む。
 GPUを簡便に利用するOpenACCの最適化の知識共有は、実アプリの観点から重要である。計算機科学の観点からも価値があると判断するため、採択に値する。

平成27年度(インターン)

課題名 所得格差が子供の健康行動に与える影響についての3階層モデルによる推定
代表者名(所属) 宮本 かりん(東京大学 医学系研究科)
 発展途上国の所得格差が子供の薬物使用に与える影響について、現在、二次データを使用して取り組んでいる。データ推定には国や居住地域の影響が強いことが予想され、サーベイデータの構造を考慮した、3レベルのマルチレベル分析を行う。これまで、3レベルのランダム切片モデル、2レベル混合効果モデルを使用し、うちいくつかのモデルでは有意な関連が見られた。更に研究を深めるため、3レベルでの混合効果モデルでの評価を行うことを目指す。
 所得格差の解析など社会科学の研究にスパコンを利用する事例は少ない。学術的な重要性に加え、スパコンの新しい利用可能性からもインターン課題として採録する価値があると判断する。

課題名 複数の収束しにくい成分を指定するSA-AMG法の研究と改良
代表者名(所属) 野村 直也(工学院大学 工学研究科)
 大規模連立一次方程式を高速に解く手法のSA-AMG(Smoothed Aggregation基づくAlgebraic Multigrid)法において、粗い問題を生成する際に収束しにくい成分を指定できる性質を利用し、解の収束性を改善する研究を行う。本インターンシップでは、まず数万プロセスレベルでの実行を想定し、収束しにくい成分を複数与えた場合でも安定動作するようにライブラリを改良する。次に、実問題で解きにくい問題行列を作成し、収束しにくい成分を多く与えた場合におけるSA-AMG法の有用性を評価する。
 大規模連立一次方程式を高速に解くSA-AMG法、数値シミュレーションにおいて有用性が高い手法である。インターン課題として採録する価値があると判断する。

平成27年度(後期)

課題名 ポスト「京」100ナノ電子状態計算むけの超並列行列ソルバー開発
代表者名(所属) 井町 宏人(鳥取大学 工学研究科)
 「京」及びポスト「京」を想定した、超大規模(最大100ナノスケール)電子状態計算むけの超並列行列ソルバーを開発する。本研究では、主に疎行列(高速性重視)なソルバーを取り上げ、密行列(高精度性重視)ソルバーに対し、互いに相補的な手法として両立させ、適切に組み合わせることで、実り多い実問題研究の実現を目指す。
 量子ダイナミクス計算に対し、前処理付き反復解法の実用化を狙う。当該分野でインパクトがあり、計算機科学の観点からも価値があると判断するため、採択に値する。

課題名 ppOpen-ATを用いたOpenACCプログラムの最適化:全体最適化と指示文拡張に向けて
代表者名(所属) 大島 聡史(東京大学 情報基盤センター)
 エクサFLOPS級のスーパーコンピュータの実現を間近に控えた今日、既存のマルチコアCPUだけではなくGPUやMICなど特徴の異なるアーキテクチャの活用についての需要が高まっている。そこで本研究では、自動チューニング記述専用言語ppOpen-ATを用いたOpenACCプログラムの最適化について取り組む。平成27年度前期の研究で明らかとなった、ppOpen-ATの提供するプログラム変換機構がOpenACCでの文法上の問題を引き起こすケースの洗い出しや、CPU-GPU間のデータ転送を最適化するOpenACC最適化プログラミングとの兼ね合いの問題の解決を図る。
 GPUを簡便に利用するOpenACCの最適化の知識共有は、実アプリの観点から重要である。計算機科学の観点からも価値があると判断するため、採択に値する。