量子色力学(QCD)は、強い力を伝えるグルーオンとクォークのみで記述され、陽子・中性子などのハドロンの性質を 支配する基礎理論である。 格子QCDは、そのハドロンの性質を定量的に探る数値計算法で、特に巨大な物理体積を用いた格子QCDは、マスター フィールド形式と呼ばれる新しい手法である。 この方式は、観測対象の相関長に比べて非常に大きな体積を用いることにより、空間的に独立な領域を多数持つ配位を 一つ生成して、その空間的ゆらぎを利用して物理量の統計処理を行う。 これは従来の手法、つまり観測対象の相関長と同程度あるいは数倍の体積の配位を多数生成しその配位間の独立な 揺らぎから物理量の統計処理をする手法とは、配位生成と物理量の評価法を異にしている。 本講演では、マスターフィールド形式の紹介と具体的な数値計算の取り組み、新たに導入したチェックポイント機能と それに付随する巨大なファイル入出力性能を報告予定である。