大規模並列計算の分野ではSPMDモデルを用いてプログラムを記述することが主流であるが、逐次実行の場合よりかなり複雑なコードになることが多く、生産性の低下を招いている。これを解決すると期待されるのがタスク並列であり、簡潔で直感的な記述のまま並列処理を行うことができる。タスク並列処理系では並列実行可能なタスクを指定するだけで処理系が自動で負荷分散を行うため、SPMDモデルを用いてプログラマが明示的に負荷分散を行うのに比べてプログラマへの負担が少ない。一方、タスク並列処理系はプログラム全体の構造を把握しておらず、最適なスケジューリングを行うことが難しい。代表的なスケジューリング手法としてはWork Stealingがあるが、ランダムにタスクを盗むワーカーを決定することからメモリの局所性を損ない、性能が悪化してしまうことも多い。本研究では、各タスクの仕事量を元にほぼ決定的にタスク配置を決定するスケジューリング手法を提案し、局所性の改善を試みる。実際に提案手法をタスク並列ライブラリであるMassiveThreads上に実装し、不規則なタスク生成を伴うアプリケーションに対してWork Stealingに比べ性能が向上することを確認した。