「Oakforest-PACSにおける大規模CFD解析向け省通信型行列解法の開発」 井戸村泰宏(日本原子力研究開発機構(JAEA)) Oakforest-PACS(OFP)はKNL,MCDRAM等によって従来のマルチコアプロセッサ環境に比べて飛躍的に高い演算性能とメモリバンド幅を実現し,現在主流となっている省電力メニーコアプロセッサに基づくエクサスケール計算機のプロトタイプとして重要な役割を果たした。本研究では,OFP上で富岳向けの大規模原子力流体解析の開発に取り組んできたが,特に,演算加速によって顕在化した通信処理のボトルネックが重要な課題となった。この課題解決に向けて,主要な計算コストを占める大規模疎行列の反復解法において,省通信クリロフ部分空間法や省通信マルチグリッド法といった省通信型行列解法を開発し,OfP全系規模の高性能CFD解析を実現した。講演では,5次元プラズマ流体解析コードGT5Dや3次元多相多成分熱流動解析コードJUPITERにおける省通信型行列解法の事例を紹介する。