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若手利用採択課題

平成23年度 スーパーコンピューター若手利用者推薦採択課題

 このたびは、お申し込みをいただきどうもありがとうございました。以下の基準による厳正な審査のうえ、課題採択をさせていただきました(順不同)。

  • スーパーコンピューターを利用することで学術的にインパクトがある成果を創出できると期待される点
  • 大規模計算、テーマの重要性
  • 既発表文献

平成23年度(前期)

課題名 課題責任者名
課題責任者所属
概要
熱電変換材料の第一原理フォノン伝導解析

塩見 淳一郎


東京大学大学院
工学系研究科
機械工学専攻

次世代型の熱電変換材料などに見られる、ナノ複合材などのナノ構造を有する半導体材料の熱伝導設計を行うには、周波数・波数依存の平均自由行程を始めとするフォノンの伝導特性を正確に知ることが欠かせない。本研究では、密度汎関数法による大規模第一原理計算によって原子間の非線形力場を抽出し、それらを用いて半導体結晶の格子熱伝導率を正確に計算する汎用マルチスケール解析ツールを開発する。スーパーコンピューターを利用することで学術的にインパクトがある成果を創出できると期待される点から採録に値する。
クラスタシステムにおける高速な特異値分解のための前処理、後処理の実装

宮下 秀樹


山梨大学大学院
医学工学総合教育部
コンピュータ・メディア工学専攻

特異値分解はデータマイニング、画像解析をはじめ多くの分野で利用される数値計算アルゴリズムである。特異値分解の計算時間の大部分は前処理、後処理の時間である。大規模特異値計算のための高速な前処理と後処理の実装を得るめの準備として QR 分解を T2K オープンスパコン上に実装する。これまでのマルチコア CPU での予備実験では OpenMP で実装した tiled QR 分解は強スケールしている。本申請により研究開発を進め、クラスタシステム上でスケールする高速な QR 分解プログラムを作成する。大規模計算、テーマの重要性から採録に値する。
パイプライン処理による集団型 MPI-IO の高速化に関する研究

六車 英峰


近畿大学大学院
システム工学研究科

大規模計算アプリケーションによる入出力が全体の性能に与える影響が無視できなくなってきている。本研究では、Two-Phase I/O 内部におけるデータ交換と直後のサイクルのファイルアクセスがうまくオーバーラップ可能なことを利用し、マルチスレッド処理によるパイプライン方式で高速化を狙う実装を行っている。本研究により大型並列計算機で問題の洗い出しを行いつつ、並列入出力システムの高度化を目指す。並列 IO は次世代スーパーコンピューターで高速化が必要な課題であり、テーマの重要性から採録に値する。
カーネルログ解析によるオンライン障害解析機構の提案

菅谷 みどり


横浜国立大学
未来情報通信医療社会
基盤センター

MPI などの処理は複雑な通信機構を駆使して実現されており、障害発生時にその要因となる障害を特定することが困難である。通信はユーザアプリケーションのみならず、ミドルウエア、オペレーティングシステム等のソフトウエアが階層的なスタック構造をなしており、必要な情報を収集し適切に障害解析を行う手法が重要である。本研究では、こうした問題に対し、ロギングに関する全体像をフレームワークとして提案し、それに基づいたシステムを提供する。障害解析手法は次世代スーパーコンピューターで検討すべき課題であり、テーマの重要性から採録に値する。
HPC 向けスクリプト言語設計と実装

倉光 君郎


横浜国立大学大学院
工学研究院

近年、スクリプト言語の適用領域として大規模科学計算 (HPC) 分野にも注目が集まっている。本研究提案の目的は、HPC 分野へのスクリプト応用の適用性を検討しながら、現在、横浜国立大学で開発中にスクリプト言語 Konoha をベースにし、言語設計と機能拡張を行なう。スーパーコンピューターの利用環境の改善に寄与すると期待されるソフトウェア開発であり、テーマの重要性から採録に値する。

平成23年度(後期)

課題名 課題責任者名
課題責任者所属
概要
ブロックヤコビ法による超並列固有値計算プログラムの開発

高橋 佑輔


神戸大学大学院
システム情報学研究科

対称密行列の固有値計算におけるブロックヤコビ法を並列化し、性能評価する。多くのコアが利用可能なHA8000上で評価し、本評価を通じ超並列実行時の問題点を摘出し改良を行うことで、1万~2万元の行列の固有値問題を、数千コアを使って超高速に解けるライブラリの開発を目指す。スーパーコンピューターの利用環境の改善に寄与すると期待され、採択に値する。
金属酵素における反応機構の理論的解明

庄司 光男


筑波大学
数理物質科学研究科

生体において極めて重要な役割を担っている金属酵素(一酸化窒素還元酵素、光合成酸素発生中心)における反応機構を高精度第一原理計算により解明する。本研究では近年(2010年)初めて解明されたX線結晶構造をもとに、大規模高精度第一原理計算を実行する事により、全反応過程を理論的に予測する。並列効率の高いNWChemを用いてQM/MM計算を行う。スーパーコンピューターを利用することで、学術的にインパクトがある成果を創出できると期待され、採択に値する。
広域 ‐ 高精細数値モデルを用いた冬季モンスーン擾乱のマルチスケール解析

前島 康光


名古屋大学
地球水循環研究センター

小低気圧は活発な対流活動とそれに伴う積乱雲が組織化した構造を持っているが、その一方で、小低気圧の発生・発達は周辺の気象場だけでなく、大規模な大気の挙動が寄与しているという指摘も多くなされている。小低気圧周辺の高精細なシミュレーションと広域の大気シミュレーションを両立するため「6km解像度の広域のシミュレーション」と「600m解像度の高精細シミュレーション」の両方を、モデル間で双方向にデータのやりとりを行いながら実行するという手法とる。2種類のモデルを同時実行し、必要なデータを計算機間で通信する新しい結合モデルの開発も進める。スーパーコンピューターを利用することで、学術的にインパクトがある成果を創出できると期待され、採択に値する。
クラスタシステムにおける高速な特異値分解のための前処理、後処理の実装

宮下 秀樹


山梨大学大学院
医学工学総合教育部

特異値分解はデータマイニング、画像解析をはじめ多くの分野で利用される数値計算アルゴリズムである。特異値分解の計算時間の大部分は前処理、後処理の時間である。大規模特異値計算のための高速な前処理と後処理の実装を得るため準備としてQR分解をT2Kオープンスパコン上に実装する。前期のT2Kでの実験結果ではOpenMPで実装したtiled QR分解は33000次元まで強スケールするが、それ以降が性能劣化するため原因を追究する。スーパーコンピューターの利用環境の改善に寄与すると期待され、採択に値する。
カーネルログ解析によるオンライン障害解析機構の提案

菅谷 みどり


横浜国立大学
未来情報通信医療社会
基盤センター

本研究では、ロギングに関する全体像をフレームワークとして提案し、それに基づいたシステムを提供することを目的とする。開発者は本フレームワークを用いて障害検知機能を追加することにより自動的にプローブを挿入し、そのプローブから収集されたログの解析により障害検知を行うことが可能となる。この時、システムにはできるだけ負荷の影響が発生しないように、解析コストを分離して運用できるようにする。将来の先端的なスーパーコンピューター環境を目指した提案につながり、採択に値する。
HPC 向けスクリプト言語設計と実装

倉光 君郎


横浜国立大学大学院
工学研究院

近年、スクリプト言語の適用領域として大規模科学計算(HPC)分野にも注目が集まっている。本研究提案の目的は、HPC分野へのスクリプト応用の適用性を検討しながら、現在、横浜国立大学で開発中にスクリプト言語 Konohaをベースにして、言語設計と機能拡張を行なうことである。将来の先端的なスーパーコンピューター環境を目指した提案につながり、採択に値する。