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FX10 スーパーコンピュータシステム「大規模 HPC チャレンジ」採択課題

2015年度 採択課題決定

 このたびは、お申し込みをいただきどうもありがとうございました。以下の基準による厳正な審査のうえ、課題採択をさせていただきました(順不同)。

  • 自作コード、またはオープンソースプログラムによる研究であること。
  • 当該コードについて、1,000 コア以上の利用実績があること。または、センターで実施してきた、「512 ノードサービス」「512 ノード利用大規模 HPC 研究」での利用実績があること。
  • 計算結果が科学的に有用、あるいは社会的なインパクトがあると考えられること。
  • 本センターの運用、ユーザーにとって有用な情報を提供すること。
  • 4,800 ノードの利用を目標としていること。
  • 計画に実現性があり、短時間で効果を示すことが可能であること (一回の利用期間は最大 24 時間)。

第1回採択課題

採択課題なし


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第2回採択課題

課題名 非巡回有向グラフの最適構造探索並列アルゴリズムの研究
代表者名(所属) 玉田 嘉紀(東京大学 情報理工学研究科)
非巡回有向グラフ(Directed Acyclic Graph: DAG) 最適構造探索問題は、グラフ構造に基づくスコアが与えられた際に、そのスコアを最大にするDAG を探索する問題である。応用の一つに確率的グラフィカルモデルの一つであるベイジアンネットワークの推定問題があり、因果関係の推論や確率構造の推定のために幅広い分野で利用されている。
DAG 最適構造探索問題は NP-hard であり、現在知られている最も高速なアルゴリズムは計算時間、メモリ消費量ともにグラフの頂点数 n に対して指数オーダーがかかる。これまで、より大きなサイズの問題を解くために、様々な並列アルゴリズムが提案され、現在最大で頂点数 n = 33の最適 DAG 構造を現実的な時間で探索することが可能になっている。
我々は現在、京や FX10 で採用されているトーラスネットワークを前提とした新たな並列アルゴリズムを研究開発している。これまでの実験の結果から、FX10 において 4,800 ノードを使用することで従来の結果を大幅に上回る n = 36 の問題サイズを解くことができると期待している。

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第3回採択課題

課題名 ポストペタスケールシステムを目指した二酸化炭素地中貯留シミュレーション技術の研究開発
代表者名(所属) 山本 肇(大成建設株式会社 技術センター 土木技術研究所)
地球温暖化対策の二酸化炭素の地中貯留技術では、地中圧入後のCO2の挙動を正確にシミュレートする技術が重要になる。例えば、地層中でのCO2の長期的な安定性の評価においては、レイリーテイラー不安定性が重要であり、その場合には詳細な格子を解く必要がある。本グループでは、米国ローレンスバークレイ国立研究所で開発された有限体積法に基づくオープンソース多相流体シミュレータTOUGH2-MPを元に物理モデルの追加,疎行列ソルバーの改良を実施し,地球シミュレータ,T2Kオープンスパコン(東大)を使用して大規模非定常シミュレーションを実施してきた。スケーラビリティに関し、これまでOakleaf-FX上で最大1400ノードまで良好な計算速度向上が得られている。今回のHPCチャレンジにより、ポストペタスケールコンピュータ上での計算性能のデータを得るとともに、ハイブリッド並列化の必要性などの課題を明らかにすることが期待される。

課題名 MPI-3仕様に準拠した通信ライブラリ適用によるパイプライン通信削減型hCGA法による並列多重格子法ソルバーの最適化および性能評価
代表者名(所属) 中島 研吾(東京大学情報基盤センター)
連立一次方程式の反復解法,前処理手法としての多重格子法は,問題規模が増加しても収束までの反復回数が変化しないスケーラブルな手法であり,大規模問題向けの解法として注目されている。並列計算においてもその効果が確認されている。申込者は,コア数が増加した場合,特に粗いレベルにおける通信の改善のためにhCGA法(Hierarchical CGA)を提案し,Oakleaf-FX 4,096ノードを使用して高いスケーラビリティを得られることを示し,内外で高い評価を受けてきた。本提案では,2015年12月にOakleaf-FXにインストールが予定されているMPI-3仕様に準拠した通信ライブラリの特性を生かすため,Ghysels等の提案したパイプライン型通信削減法を適用し,内積計算における集団通信のオーバーヘッドが隠蔽されるようにアルゴリズム改良を実施し,性能評価を実施する。併せて,新規にインストールされたMPI-3仕様に準拠した通信ライブラリの評価に資するものである。

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