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若手・女性利用採択課題

平成25年度 スーパーコンピューター若手・女性利用者推薦採択課題

 このたびは、お申し込みをいただきどうもありがとうございました。以下の基準による厳正な審査のうえ、課題採択をさせていただきました(順不同)。

  • スーパーコンピューターを利用することで学術的にインパクトがある成果を創出できると期待される点
  • 大規模計算、テーマの重要性
  • 既発表文献

平成25年度(前期)

課題名 課題責任者名
課題責任者所属
概要
高性能バルク熱電変換材料の第一原理格子熱伝導解析

志賀 拓麿


東京大学
工学系研究科

 シリサイド系材料と酸化物系材料が近年注目され、日本を中心に精力的に研究されている。これら材料の基礎物性に関しては、電気伝導の第一原理計算が精力的に行われており、実験を比較的よく再現する結果が得られているが、熱伝導、特に格子熱伝導解析は、従来の熱伝導モデルによる解析に留まっており、正確かつ微視的な格子熱伝導解析は十分に行われていない。原子間力定数を正確に計算するため、数百以上の原子を含む系、高い計算精度(十分なエネルギーカットオフ、密な波数メッシュ)のため、スーパーコンピューターを利用する。
 高性能バルク熱電変換材料の基礎物性の解析は、当該分野において重要と判断する。科学的な価値があると判断するため、採択に値する。
ソーラー水素等製造プロセス技術開発のためのデータ同化シミュレーション手法の開発と応用

佐藤 大介


東京大学
工学系研究科

 半導体、金属、食品、農薬、治療薬などの種々の物性を物理化学的に明らかにする。方法論としては、第一に、量子力学、量子化学に基づいた厳密な理論計算を、実験と比較対象可能、説明可能なものとする。第二に、既に知られている実験事実に基づいた経験的アプローチによる物性予測を行い、帰納法、演繹法を同時展開していく。本研究では、結果に重きを置き、最もよく用いられている手法から、新しい方法論を比較し、組み合わせることで、産業界への高度科学技術計算の有用性を示す。
 スーパーコンピューターを利用することで、学術的にインパクトがある成果を創出できると期待されることから、採択に値する。
超並列環境向け固有値計算プログラムの性能予測モデルの開発

深谷 猛


神戸大学
システム情報学研究科

 量子科学計算や統計計算などの様々な分野で大規模密行列の固有値計算の需要があるが、超並列環境における既存のライブラリの性能限界が指摘されている。そこで、性能予測モデルを構築し、それをライブラリの開発に活用する。対象は、開発中の Eigen-K であり、FX10 上での並列実行性能を詳細に測定し、1ノードでの演算性能と MPI 通信に関するベンチマーク結果に基づくモデルについて検証する。平成 25 年度前期では、ノード間の負荷不均衡やネットワーク衝突、および他の数値計算プログラムへモデルを適用する。
 超並列の固有値ソルバーの開発は、エクサに向けた数値計算基盤として重要である。エクサに向けた実装開発として有用であり、採択に値する。
大規模連立一次方程式における精度保証付き数値計算の実装と評価

森倉 悠介


早稲田大学
基幹理工学研究科

 本研究は、係数行列が密 10 万次元の大規模連立一次方程式における精度保証付き数値計算を、スーパコンピュター上で実装し性能評価を行うことで、大規模計算機環境における高信頼ソフトウェア基盤の創出を目標とする。本年度は、コレスキー分解を利用した高速な手法の実装と性能評価を行い関数化する、前年度課題で開発した関数と本課題で開発した関数の性能評価を行う。
 スーパーコンピューターにおける精度保証の実装は、エクサに向けて重要な課題となると予想される。課題の重要性から、採択に値する。

平成25年度(後期)

課題名 課題責任者名
課題責任者所属
概要
大規模並列化量子モンテカルロ法の開発と冷却ボーズ原子系のシミュレーション

正木 晶子


東京大学
物性研究所

 「量子モンテカルロ法のアルゴリズム開発」と「極低温冷却ボーズ原子気体の普遍的な熱力学的性質の解明」の2つを主軸とした理論研究を行う。量子モンテカルロ法(QMC)のワームアルゴリズムは並列化が非自明であったが、開発した並列化マルチワームアルゴリズム(PMWA)は並列化が可能で、従来のアルゴリズムでは到達できなかったサイズの計算が可能である。希薄ボーズ原子気体の熱力学的性質は古くから知られている摂動計算によって示されていたが、近年これまで知られていた結果と異なることが分かった。申請者はPMWAを用いて精密なシミュレーションを行い、正しい理論を検証する。
 量子モンテカルロ法の並列アルゴリズム開発は、当該分野において重要と判断する。また、極低温冷却ボーズ原子気体の普遍的な熱力学的性質の解明は、科学的な価値があると判断するため、採択に値する。
相変化現象の大規模分子動力学解析

James Cannon


東京大学
工学系研究科

 相変化現象は原子・分子間の相互作用に強く依存するため、原子・分子スケールでのシミュレーションが必要不可欠である。本研究は分子動力学を用いて沸騰と凍結の相変化現象のシミュレーションを行う。凍結のシミュレーションでは、異種・混入液体による水素結合などの相互作用への影響や液体構造、自由エネルギー計算を行う。沸騰のシミュレーションでは、ナノスケール観点から界面形状による初期核生成を調査する。
 相変化は広範囲でみられる現象で、沸騰や蒸発などの相変化現象は実際の冷却技術の一部として用いられいる。これらの現象の解明は、科学的な価値があると判断するため、採択に値する。
高性能バルク熱電変換材料の第一原理格子熱伝導解析

志賀 拓麿


東京大学
工学系研究科

 シリサイド系材料と酸化物系材料が近年注目され、日本を中心に精力的に研究されている。これら材料の基礎物性に関しては、電気伝導の第一原理計算が精力的に行われており、実験を比較的よく再現する結果が得られているが、熱伝導、特に格子熱伝導解析は、従来の熱伝導モデルによる解析に留まっており、正確かつ微視的な格子熱伝導解析は十分に行われていない。原子間力定数を正確に計算するため、数百以上の原子を含む系、高い計算精度(十分なエネルギーカットオフ、密な波数メッシュ)のため、スーパーコンピューターを利用する。後期課題では、理論的に熱電変換の発展に貢献するため、従来用いられていない置換元素の影響や、合金化以外の構造制御の影響を評価する。
 高性能バルク熱電変換材料の基礎物性の解析は、当該分野において重要と判断する。科学的な価値があると判断するため、採択に値する。