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平成20年度公募型プロジェクト報告会アブストラクト

厳密な理論波形計算を用いた高解像度地球内部構造推定

竹内 希 (東京大学地震研究所)

takeuchi(at)eri.u-tokyo.ac.jp

 理論地震波形と観測地震波形を比較することにより伝播経路上の地球内部構造を推定する課題は、重要な課題として広く認識されている。しかし3次元不均質媒質に対する理論波形に膨大な計算量を要するため実現は容易ではない。 私たちは、独自の効率的な理論波形計算手法と地球シミュレーター(ES)を用いて、厳密な理論波形計算に基づく3次元内部構造推定を実現した。技術的インパクトに加え、マントル対流上昇流域に特徴的な低速度異常構造を検出するという、 地球科学的なインパクトを与えた(Takeuchi 2007、GJI)。本プロジェクトでは、HA8000を用い、検出された不均質構造のrobustnessを評価した。3次元内部構造モデルに対する理論波形と観測波形の残差の評価に大きな計算量を要したが、 ES用の理論波形計算ソフトをHA8000用に最適化することによりこれを実現した。ESの64CPUを用いた8時間の計算を、HA8000の64プロセッサー(256コア)を用いて7時間で計算可能になった。本解析によりマントル上昇流の挙動に関して新たな示唆が得られ、 成果を国際学会誌で発表した(Takeuchi 2009、GRL、in press)。