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第2回ASE研究会のお知らせ

今回で第2回となります、先進スーパーコンピューティング環境研究会(ASE研究会)開催のご連絡をいたします。

第2回ASE研究会開催予告

日時:2008年8月20日(水)13時30分~16時15分
場所:東京大学 情報基盤センター 3階 大会議室(情報基盤センター案内地図
主催:東京大学情報基盤センター スーパーコンピューティング部門

プログラム

【招待講演】

13時30分~14時30分

 独立行政法人 理化学研究所 次世代生命体統合シミュレーション研究推進グループ
 小野謙二 様
 「ペタスケールシミュレーションのソフトウェア基盤」
 "Software Infrastructure for Peta-scale Simulation"

概要

 大規模な計算システムは、ES、BG、TUBAME、T2Kなど近年の大規模な計算機システムが示すように分散超並列かつマルチコア環境が一つのトレンドを示している。更に、GPUやアクセラレータの併用によるヘテロな計算環境についても研究開発が進められている。このような計算環境の進展の中で、計算資源の利用技術が今後より一層重要な役割を果たすようになる。
 一方、ソフトウェア開発の点からは、シミュレーションは、単なる空間規模の大きな計算だけでなく、今や、マルチフィジックス・マルチスケール現象、最適化など、従来の計算能力では到達できなかった領域に踏み込もうとしている。連成解析や最適化など異なる計算技術の組み合わせにより問題を解決するためには、各領域を専門とする研究者のコラボレーションにより、効率的なコード開発を進めることが有効なアプローチである。
 このような背景のもと、理化学研究所ではコード開発の効率を高め、エンドユーザの実行時の利便性を追求したシミュレーションフレームワークの開発と、これを用いたシミュレータ群の開発を推進している。本講演では、このフレームワークの概要とアプリケーション例について、また、大規模シミュレーションに必要なプリポスト環境について報告する。


【若手利用者推薦制度(試行)平成19年度後期採択課題 招待講演】

14時45分~15時15分

 大阪大学 基礎工学研究科 関本敦 様
 「正方形管路内乱流の数値シミュレーション~乱流中の秩序構造と二次流れ~」

概要

 矩形管路(ダクト)内乱流にはプラントルの第二種二次流れと呼ばれる管軸に垂直な速度を持つ平均流が存在し、物質や熱、運動量の平均的な輸送に影響を及ぼすため、工学的関心がもたれている。過去のダクト乱流中の二次流れに関する研究では、主に二次流れと各レイノルズ応力成分や平均渦度成分などの統計量との関係について調べられているが、二次流れの生成機構は十分に明らかにされていない。


 近年の乱流研究の結果、壁面乱流の自己生成維持サイクルに重要な役割を果たす縦渦やストリークといった秩序構造の存在が明らかになっており、壁乱流の諸性質の解明や乱流制御の観点から注目を浴びている。矩形ダクト中の乱流現象によって生成する二次流れには、これらの秩序構造が大きく関与していると考えられるが、時々刻々の秩序構造の挙動は複雑で、二次流れとの直接的な対応付けには大きな困難が伴う。


 今回は、スペクトル法を用いた正方形ダクト乱流の直接数値シミュレーションの方法と、乱流中の秩序構造に立脚した二次流れの生成機構解明の試みを紹介する。

15時15分~15時45分

 筑波大学 システム情報工学研究科 横澤拓弥 様、高橋大介 様
 「大規模密行列に対する古典Gram-Schmidt直交化の高速化」

概要

 本論文では、直交化アルゴリズムの一つである古典Gram-Schmidt法(CGS法)の効率的な実装を行い、日立SR11000システムにおいて並列化して評価した結果について述べる。CGS法においては、内積計算とベクトル変換を行列積に変換し、再帰的に行列積を行うことで、性能を改善することができることが知られている。
 本論文では、CGS法を行列積で行う手法を拡張した評価結果を示す。
 提案する手法を日立SR11000システムに実装し、性能評価を行った。その結果、16ノード(256CPU)のシステムで、行列サイズ37000において約489.2GFLOPSの性能を得ることができた。

15時45分~16時15分

 埼玉大学 理工学研究科 坪谷怜 様
 「実対称固有値問題に対する多分割の分割統治法の並列化」

概要

 実対称固有値問題に対する数値解法では、まず初めに実対称三重対角行列の固有値問題に帰着させることが一般的である。実対称三重対角行列の固有値問題に対する数値解法として、並列性の高い分割統治法や演算量の少ないMRRR法が知られている。
 最近、桑島らにより分割統治法は二分割から多分割に拡張された。多分割では分割数を3以上に増やすことができ、これに伴い二分割の主要演算であった行列行列積の演算量を削減できる。また、多分割は二分割同様に並列性の高いことが期待される。
 本研究では、並列計算機HITACHI SR 11000 1ノードを16スレッドからなる共有メモリ型並列計算機として扱い、多分割の分割統治法の並列計算プログラムを実装した。LAPACKに実装されている二分割の分割統治法やMRRR法と性能および精度を比較し、共有メモリ型並列計算機における多分割の分割統治法の有用性を示した。

研究会形式

  • センターユーザに限定せず、研究会は一般公開とします。
  • 参加費は無料で、基本的に事前登録は不要です。
  • 講演原稿は原則として、スーパーコンピューティング部門が隔月で発刊している「スーパーコンピューティングニュース」誌、および、情報基盤センターが発刊している「Digital Life」誌に掲載されます。

また、今後の開催予定を確実に知りたい方は、メーリングリストへの登録をお願いします。登録依頼については、下記問い合わせ先までお願いします。

本研究会の問い合わせ先

〒113-8658 東京都文京区弥生2-11-16
東京大学 情報基盤センター


ASE研究会幹事 特任准教授 片桐孝洋
E-mail:katagiri@cc.u-tokyo.ac.jp
(”@”を半角にしてからお送りください。)