東京大学情報基盤センター スーパーコンピューティング部門

2020年度若手・女性利用採択課題

このたびは、お申し込みをいただきどうもありがとうございました。以下の基準による厳正な審査のうえ、課題採択をさせていただきました(順不同)。

  • スーパーコンピューターを利用することで学術的にインパクトがある成果を創出できると期待される点
  • 大規模計算、テーマの重要性

2020年度(前期)

課題名 内側円筒が回転する同心円筒間環状流路内の熱伝達と摩擦抵抗にTaylor渦の移流が与える影響のLES解析
氏名(所属) 大竹 啓太(東京農工大学大学院 工学府)
利用システム Oakbridge-CX
近年、 省エネルギーのために電気モータやガスタービンなどの回転機械では冷却効果向上・摩擦抵抗低減が求められており、それらの実現のためには、回転機械内の流れにおける熱伝達および周・軸方向の摩擦抵抗の理解が重要となる。本研究では、回転機械内の流れを内壁が回転する同心二円筒間環状流路内の流れ(Taylor-Couette流れ)に単純化し、軸方向の流れ(貫流)のある場合について熱および運動量輸送のLarge EddySimulation(LES)解析をOpenFOAMにより行う。そして、熱伝達および周・軸方向の摩擦抵抗に対し、先行研究が提案した、貫流がある場合のTaylor-Couette流れの熱伝達および周・軸方向の摩擦抵抗に対する移流,分子拡散,乱流拡散の3項の寄与度を求める方法で評価を行う。内側円筒が回転する場合はTaylor渦という渦が形成されるが、貫流がある場合のTaylor渦の移流が流れ場に及ぼす影響を評価できていない。そこで、本研究ではTaylor渦を追跡し、Taylor渦の移流の影響を評価する。

課題名 ペアリング暗号に適した楕円曲線の探索
氏名(所属) 照屋 唯紀(産業技術総合研究所 サイバーフィジカルセキュリティ研究センター )
利用システム Oakbridge-CX
ペアリング暗号とは、特別な性質を満たす楕円曲線の上に構成できるペアリングと呼ばれる演算を利用した暗号技術を指す。ペアリングを用いると、有用な機能と高い効率性を持った暗号方式を構成可能であることが理論上示されている。しかし、実際に安全かつ実用的な性能を持つ実装を行うためには、十分な安全性強度を持ち高速に計算可能な「ペアリング暗号に適した楕円曲線」を使用する必要がある。本課題では、ペアリング暗号に適した様々な楕円曲線を大規模に探索するプログラムを開発し、実際に探索を行う。これにより、最良の楕円曲線の選択に貢献する事を目指す。

課題名 クライオ電子トモグラフィーによるin situ構造生物学
氏名(所属) 小田 賢幸(山梨大学大学院 総合研究部)
利用システム Reedbush-L
超解像光学顕微鏡とクライオ電子顕微鏡によるタンパク質の三次元構造解析は近年、目覚ましい発達をしている。しかし両者の境界領域である、解像度1〜10 nm程度の構造情報は、未だ古典的な解析方法に依存している現状がある。本研究ではクライオ電子トモグラフィーによる構造解析を主軸とする “in situ クライオ構造生物学”の方法論を確立することで、この情報ギャップを補完し、タンパク質複合体や細胞小器官の構造をより生理的な条件下で明らかにすることを目的とする。クライオ電子トモグラフィーを用いて撮影した画像データは試料あたり2TB以上となり、大量の二次元画像から分子の三次元構造を再構成するためには、大きなマシンパワーが必要となる。本研究ではGPUの活用により画像処理速度を大幅に向上させたオープンソフトウェアRelionをReedbush-Lシステム上で走らせることにより、より多くの画像データからより高い解像度の再構成像を得ることを目指す。

課題名 動的膜の分子動力学計算
氏名(所属) 小山 志穂里(株式会社 豊田中央研究所)
利用システム Oakbridge-CX
環境に対する関心が高まる中、省エネルギーな分離を達成する手段として分離膜が注目されている。通常、分離膜は海水の淡水化や気体分離などに利用されるが、これまでの研究で、分離膜の考え方を応用することにより空間の非対称に起因する歩行者の自己組織化現象が説明できることがわかった。これによりこれまで議論されてきた以外の分野でも分離膜とのアナロジーが考えられることが示唆され、分離のプロセスに影響する因子を詳細に調べることは膜工学のみでなく他の分野で見られる現象の理解にも寄与する可能性がある。分離特性に関する先行研究の一つに膜の特性が時間変動する動的分離膜の研究があり、この研究では臨界周波数の前後で膜を介した物質の浸透の速さが変化することがわかっている。しかし、先行研究は濃度に対する偏微分方程式を解いたものであり粒子系での解析は行われていない。また浸透の特性は対象となる粒子の特性、熱揺らぎの大きさ等,他の様々な要因にも影響を受けるため、これらのより詳細な研究が必要である。したがって、本研究では分子動力学のアプローチにより、粒子系でも同様の現象が見られるかどうか研究を行う。

課題名 分子動力学シミュレーションによる自己炎症性疾患に関わるタンパク質の研究
氏名(所属) 大滝 大樹(長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科)
利用システム Reedbush-H
自己炎症性疾患は主に自然免疫系の異常により発症し、周期的な発熱や関節・皮膚・骨・眼などの部位に炎症を伴う比較的新しい疾患群である。近年、原因遺伝子、炎症に関わる分子の構造や機能,炎症のメカニズムが少しずつ明らかにされてきたが,不明な点も多く残されている。本研究では、自己炎症性疾患について分子論的な知見を得ることを目的とし、自己炎症性疾患に関わるタンパク質について分子動力学計算を行う。野生型・変異型のモデルについて計算し、変異が疾患に及ぼす影響を調べる。

課題名 構造ガラスにおける限界安定性の研究
氏名(所属) 島田 真成(東京大学 総合文化研究科)
利用システム Oakbridge-CX
液体を急冷すると、構成粒子の配置がランダムなまま固体のように固まり、ガラスとなる。ガラスは通常の固体(結晶)と異なり、微小な変形で破壊されてしまうという限界安定性と呼ばれる性質を持ち、その理解はガラス研究の最重要課題の一つである。近年の研究によって、限界安定性を特徴づける特異な力学応答がよく調べられてきているが、そもそもなぜガラスが限界安定なのかという問題はほとんど未解決である。本課題では、液体が急冷される過程を数値実験で直接追跡することによって、ガラスがいかにして限界安定性を獲得するかを調べる。そのためには、巨大なガラス配置を大量に用意し急冷過程を調べるという大規模シミュレーションが要求される。具体的には,急冷途中の粒子配置に対して振動モード解析を行い、配置の中でエネルギー的に不安定な場所、つまり壊れやすい場所の分布や構造を調べる.私はこれまで、凍結した後のガラス配置に対して振動モード解析を用いた数値的な研究を行ってきた。そこで培われた振動モードを調べる手法を本課題でも用いることによって、凍結した後のガラス配置とその直前の配置を比較し、それに基づいて液体がガラスとなる過程を理解する。

課題名 コミュニケーションにおける情報量と音声的余剰性の関係
氏名(所属) 橋本 大樹(東京大学 教養学部)
利用システム Oakbridge-CX
語の音声実現は様々に変化する。同じ単語であっても丁寧に発音され、その持続時間が長くなることがあれば、粗雑に発音されて持続時間が短く発音されることもある。こうした音声実現の変化は、語の持つ情報量に影響されることが知られている。具体的には“情報量の高い語は丁寧に発音される一方で、情報量の低い語は粗雑に発音される” ということが示されてきた。語の持つ情報量と発音の丁寧さは、多くの場合持続時間の長短を議論することが多かった。本研究では語の持つピッチ値とフォルマント値が、情報量にどの様な影響を受けるかを明らかにする。これによりInformation Theory の仮説を検証し、話者が言語産出においてどの様に情報を処理しているかを明らかにすることができる。

課題名 第一原理計算と機械学習を用いた新物質の合成条件予測
氏名(所属) 倉田 伊織(東京大学 工学系研究科)
利用システム Reedbush-H・Reedbush-L
本研究では、計算による物質設計を実現するために、化学式と合成条件から熱力学的に安定な結晶構造を予測する。このことは物性研究における長年の目標であったが、O(N^3)程度の第一原理計算によるエネルギー及び力の評価が多数回必要であるため、これまで実現してこなかった。しかし近年、機械学習による第一原理計算結果の高精度高速な予測が可能になったため、効率よく安定構造を探索できると期待される。本課題ではGPUを活用し、第一原理計算自体も高速に行いつつ、アクティブラーニングにより上記事項を実現する。また、遷移金属ペロブスカイトAMO3系列を対象とすることで、既知物質で手法の正当性を確認しつつ、新物質の開拓も行う。

課題名 磁気単極子秩序形成の有限温度解析
氏名(所属) 奥村 駿(東京大学 工学系研究科)
利用システム Reedbush-H・Reedbush-L
近年、ある種の金属磁性体において、有効的に磁気単極子の規則配列と見做すことができる特異な磁気テクスチャが実験的に観測され注目を集めている。磁気単極子の持つ粒子的な性質から、不揮発性メモリなど次世代型デバイスへの応用が期待されているが、その安定性についてはいまだ明らかにされていない。申請者はこれまで、金属中を電子が運動する効果を取り入れた理論模型を数値的なアプローチによって解析することで、磁気単極子を伴う磁気秩序を得ることに成功している。本研究課題では、この研究を発展させ、有限温度における磁気単極子の安定性を調べることを目的として、十分に大きなシステムサイズをもった系に対してGPUを活用した大規模並列計算を行う。特に、磁場下において磁気単極子の数がどのように変化するかを定量的に解析し、単極子と反単極子の対消滅によるトポロジカルな相転移現象を含めた詳細な有限温度相図を解明する。また、磁気異方性や反対称交換相互作用を取り入れた、より現実的な模型に対してもシミュレーションを行うことで、磁気単極子の変形や安定性の変化などについて明らかにする。

課題名 実機単段遠心ブロワで生じるサージ点近傍非定常失速現象の大規模圧縮性LES解析
氏名(所属) 塚本 和寛(日立製作所 研究開発グループ)
利用システム Oakbridge-CX
遠心圧縮機やブロワは、石油精製プラントなどの各種プラントの心臓部として、プロセスガスの圧縮や過給機として用いられており、工業上極めて重要なターボ機械のひとつである。一般的にターボ機械を含むシステムでは、システムの作動流量が減少すると、流れの不安定現象である旋回失速やサージングと呼ばれる非定常脈動現象が生じる。非定常脈動現象が生じると、システム内を流れる流速や圧力が非定常的に大きく変動するため、圧縮機を構成する羽根車やその周囲の配管に流体力が作用し、ターボ機械の運転が不可能となる。そのため、これらの脈動現象は回避することが不可欠である。しかし、これらの現象は非定常な複雑な流れ場において生じる現象であり、未だに数値解析によるその予測精度は低く、モデル機による実験計測での評価が主である。そこで本研究では、実機の単段遠心ブロワを対象に大規模非定常圧縮性LES(Large Eddy Simulation)解析を行い、旋回失速に起因する圧力脈動が発生した場合においてブロワ内で生じる羽根車逆流の非定常流動メカニズムを解明し、圧縮機空力設計の高度化を実現することを目的とする。

課題名 全ゲノム配列情報と画像クラスタリング技術の融合による希少難治性疾患の層別・分類手法の開発
氏名(所属) 川口 修治(京都大学大学院 医学研究科附属ゲノム医学センター)
利用システム Reedbush-H
希少難治性疾患の多くは遺伝的要因がその発症に起因することが知られている。しかしながらゲノム情報のみを用いた解析では発症要因となる遺伝子やその変異を同定できないことが多い。その原因の一つに症例数の少なさから十分な研究が進まず、明確な診断基準が確立せず、疾患分類や定義が不明瞭なままの疾患が多いことにある。これらの問題に対して、ゲノム情報に、診断に用いる画像情報等を加味して解析することで疾患をより詳細に分析することが期待できる。そこで、本課題ではdeep learningによる画像クラスタリングとゲノム解析手法を組み合わせることで、原因遺伝子やその変異を基準とした疾患の再層別・再分類を可能とする手法の開発を目指す。指定難病の一つである網膜色素変性をモデル疾患に、眼底画像とその全ゲノム解析情報を用いて開発を遂行する。開発モデルは汎用的に設計することで、多くの難治性疾患への適用を広げ、得られた結果を通じて遺伝子診断率の向上や疾患発症機序の解明に繋げる。

課題名 革新的抗血小板薬創製に向けた第XI因子・トロンビンと血小板膜糖蛋白GPIbαおよび von Willebrand因子複合体の結合エネルギー計算
氏名(所属) 中山 正光(東海大学 内科学系 )
利用システム Oakforest-PACS
抗血小板薬は、血栓イベントを抑制するため血小板の機能を阻害するが、その効果が強すぎるため出血の副作用が問題となっている。申請者は、実証実験にて血小板接着に必須な血小板膜糖蛋白GPI bαとvon Willebrand因子(VWF)の相互作用に血液凝固因子の第XI因子(FXI)とトロンビンが影響を与え、血栓形成に寄与するという知見を得た。本研究では、GPIbα-VWFのMDモデルにFXI、トロンビンをそれぞれ組み込み、その結合エネルギーを分子動力学シミュレーションで予測することを目的とする。すでにそれぞれの再安定構造の計算は完了しており、本課題ではPotential Mean of Force(PMF)の計算を行なう。PMFのピーク位置や各拘束点における安定構造から抗血小板薬の創薬標的モデルを決定する。本課題を通じて設定した創薬標的モデルは、低分子化合物のin silicoスクリーニングに使用する.申請者が実証実験を行い、低分子化合物を探索する予定である。

課題名 汎関数繰り込み群による量子スピン液体候補物質の物性解明
氏名(所属) 福井 毅勇(東京大学大学院 理学系研究科 )
利用システム Reedbush-HOakbridge-CX
本研究課題では、2006年に提案されたKitaev模型で予言された量子スピン液体状態が実現している候補物質の物性や、候補物質の実験結果を、汎関数繰り込み群法を用いることで解き明かす。Kitaev模型は可解模型であり、厳密に基底状態が量子スピン液体であり、Majorana粒子的な励起があることが示されている。2018年にKitaev模型の候補物質で、Majorana粒子的励起の痕跡が実験で明確に捉えられた。候補物質ではKitaev模型で予言されたような量子スピン液体が実現している期待が大きく高まり、研究は次の段階を迎えている。今まではKitaev模型の可解性を利用した計算法や実験結果の解釈がなされてきたが、Kitaev模型の候補物質には、実際はKitaev模型に含まれない非可解な効果が存在する。それらの効果によりKitaev模型で予言された量子スピン液体状態の形成が阻まれていないか、また、どのような物質なら量子スピン液体状態が安定であるかを明らかにし、物質合成・物質探索の指針を明らかにする必要がある。本利用課題では、汎関数繰り込み群計算を大規模並列実行することで上述の問題に取り組む。

課題名 FDPSを用いた土/水連成数理モデルの開発に関する研究
氏名(所属) 平田 紗椰(神戸大学大学院 工学研究科 )
利用システム Oakforest-PACS
近年、豪雨や大雨による土砂災害が頻発している。土砂災害は生活に大きな被害をもたらす災害であるが、その被害を減らすために事前に危険箇所を特定するだけでなく、被害がどの程度起こるのかをシミュレーションできるようになるということが重要である。そのためには実斜面での規模でシミュレーションを行う必要があるが、実斜面を想定すると非常に大きなシミュレーションコストが掛かってしまい、従前では実験室模型の再現が限界であった。しかし大型計算機を使って並列計算を行うことで実在スケールの大規模計算を図ることが可能となる。本研究では連続体を有限個の粒子によって表し、連続体の挙動を粒子の運動によって計算する粒子法を用いて,粒子数約1000万個の斜面崩壊シミュレーションを行う。さらに既往研究では土骨格と間隙水を完全に2つに分ける二相混合体で考えていたものを、二相を有する粒子群で考える土/水連成解析という手法を用いて斜面崩壊シミュレーションを行う。実地盤規模での土水連成シミュレーションを行うことで、これから起きるであろう土砂災害の被害想定を行うことができると見込まれる。

課題名 微視的界面構造に基づくナノコンポジットの機械的特性の発現メカニズム
氏名(所属) 屋山 巴(工学院大学 先進工学部)
利用システム Oakforest-PACS
本研究の目的は、CNT/樹脂からなるナノコンポジットの機械的特性の発現機構を界面の原子配置および電子状態に基づいて解明することである。このために、①第一原理電子状態計算(DFT)、②分子動力学手法(MD)、③機械学習の、複数の理論計算手法を効果的に融合させた独自の研究を展開する。具体的には、CNTの引き抜きに必要な最大応力をMDで定量的に評価する。同時に、界面近傍の応力分布を可視化し、応力に大きく寄与する界面構造要素の微視的な構造を抽出する。この微視的構造に基づいてDFTによる電子状態計算を行うことで、界面の化学結合状態を明らかにできる。機械学習は、DFTとMDを連携する役割に用いられる。以上のように、材料全体の強度が生じる機構を、微視的な構造と電子状態に基づいて明らかにすることによって、最終的にナノコンポジットの機械的特性の評価指針を確立、提案する。

課題名 大質量星団形成シミュレーション
氏名(所属) 藤井 通子(東京大学大学院 理学系研究科)
利用システム Oakbridge-CX
星は分子雲と呼ばれる低温の星間ガスから生まれる。星の多くは星団(数千から数百万個の星の集まり)として集団で生まれるため、分子雲からの星団形成過程を明らかにすることは、星形成過程の解明に繋がる重要な研究テーマである。特に、大質量星団は、星の進化を経て、ブラックホール連星を形成し、これらが合体することで重力波を出すため、現在、非常に注目されている。これまでの星団の形成・進化のシミュレーションは、高分解能かつ、様々な物理現象(星間磁場や大質量星による輻射や質量損失によるフィードバックなど)をより精密に扱う方向に進んでいた。しかし、このような超高分解能シミュレーションでは、10^3太陽質量程度の比較的小さな星団しか扱うことができない。その一方、10^4太陽質量を超えるような大質量星団がブラックホール連星形成においては重要であり、さらに、そのような大質量星団の形成過程は、未だ謎が多い。本研究課題では、新規開発の流体+重力多体計算コードを用い、これまでより大質量の星団形成シミュレーションを星同士の近接遭遇を分解して行い、大質量星団の形成・進化過程を明らかにする。

課題名 波形インバージョンによる地球マントル最下部の詳細構造推定
氏名(所属) 鈴木 裕輝(東京大学大学院 理学系研究科)
利用システム Oakforest-PACS
地球マントル(以下単にマントル)の最下部数100 kmはD″領域と呼ばれ、この領域は固体岩石のマントルと液体鉄合金の外核の境界(CMB)直上の熱的及び化学組成的境界領域である。地温勾配とマントル物質のソリダスが交わる可能性がある領域であるので、組成分化を起こすマグマが定常的に存在する可能性が高い。そのためD″領域は、マントルにおいて熱及び化学組成の不均質を生み出す主要な領域であると考えられている。従ってマントルのダイナミクスを観測情報から制約するためには、境界領域の一つであるD″の熱・化学組成不均質を地震学的不均質構造として定量的に推定することが重要である。しかし比較的強い低速度異常の詳細なサイズ及び低速度の程度は既存の構造推定手法では困難であった。また正確な理論地震波形の計算も必要であったが、短周期までの計算は計算資源の問題から困難であった。そこで本申請研究では地震波形に含まれる情報を余すことなく活用できる波形インバージョン手法と、スペクトル要素法による理論地震波形計算ソフトウェアSPECFEM3D_GLOBEを用いてD″領域の低速度異常の詳細な構造推定可能性を定量的に見積もる。

課題名 Weather Forecasting: Physical Model Acceleration using Machine Learning and High-Performance Computing
氏名(所属) Maha Mdini(RIKEN RCCS)
利用システム Reedbush-L
Weather forecasting relies on complex physical models allowing to simulate the evolution of climate variables. These models, however accurate they may be,have a high computational cost. To alleviate this cost, we apply simple physical models to predict low resolution data. Then, we use neural networks to map low resolution predictions to high resolution ones. In our implementation, we take advantage of the super-computing capabilities. We aim to apply this approach to QG and SCALE models.

課題名 半古典輸送理論に基づいた電子・光融合シミュレーション
氏名(所属) 谷 水城(東京大学大学院 工学系研究科)
利用システム Oakbridge-CX
2018年度のノーベル物理学賞を受賞した「高強度超短パルスを発生する方法」すなわちチャープパルス増幅の発明をきっかけとして、近年、高強度超短パルスレーザーの技術が進歩し、高強度場物理・アト秒科学・レーザー加工などの、物質と高強度レーザーの相互作用の解明および産業応用が進められている。しかしながらレーザー加工のプロセスなどの物質と高強度レーザーの相互作用は学理構築が未だ 途上であり、完全なシミュレーションを行うことはできない。 これは、レーザー加工に伴う諸現象が、固体物理とプラズマ物理、流体力学等にまたがる非線形・非平 衡の複雑なもので時空間的にもマルチスケールな現象だからである。本研究課題では、レーザー加工学理に基づいた新奇シミュレーション手法の開発により加工パラメータ予測を行う学理CPS型レーザー加工シミュレータのプロトタイプ開発を目指す。

課題名 機械学習による時系列データの学習過程の解明
氏名(所属) 中井 拳吾(東京大学大学院 数理科学研究科)
利用システム Reedbush-H
時系列データからモデリングを行い、 未来の時系列データを予想することは科学的にも実用上も重要である。 例えば、ある期間の気象データから機械学習によりモデリングを行い、将来の天気を予想しようというものである。しかし、一般に深層学習などの機械学習ではその構造の複雑さゆえに学習そのものの考察が困難である。このため、機械学習では何を学習しているのか。 また、どのように学習しているのかということの多くはいまだに明らかにされていない。一方で、申請者が用いる学習手法は内部構造がシンプルな構造であり、学習過程を考察することが容易である。そこで、本研究の目的は、機械学習ではどのようなことが学習可能で、どのように学習しているかという学習過程を調べることである。特に、力学系構造に注目して考察を行う。

課題名 流動及び岩盤力学の逆解析により地層水理パラメータの推定
氏名(所属) 張 毅(地球環境産業技術研究機構)
利用システム Oakbridge-CX
浸透率(または透水係数)は、地下水の挙動を制御する、または地下水をモデリングする際の最も重要な係数の一つである。帯水層テストの地層の変形には、多孔質弾性体中の流動・変形連成過程による浸透率の情報が含まれる。本研究では帯水層の揚水試験において分布型光ファイバーひずみ検知(DFOSS)ツールによって測定したデータを使用し、多孔質弾性変形連成モデルを使用して、帯水層におけるファインスケールの浸透率を逆解析する。得られた浸透率情報は、地下水のモデリング、管理において有益である。

課題名 Numerical simulation of deepwater oil blowout: crossflow effect
氏名(所属) Daniel Cardoso Cordeiro(大阪大学大学院 基礎工学研究科)
利用システム Oakforest-PACS
Although ten years have passed since the Gulf of Mexico oil blowout, there is still a lack of consolidated information regarding deepwater blowouts due to the lack of experimental data. In order to further understand this flow and uncover the physics behind it, we will use numerical simulations to study the droplet size distribution in the case of an oil jet under water crossflow. Our objective is to develop a faster and accurate method to predict the oil droplet sizes and its fate underwater.

課題名 散開星団起源ブラックホール連星の形成と特徴
氏名(所属) 熊本 淳(東京大学 理学系研究科)
利用システム Reedbush-L
LIGOによる初の重力波直接検出以降、連星ブラックホール合体による重力波検出が続いている。我々はこれまでの研究において、散開星団特有の連星ブラック―ル形成過程として、星団内で重い主系列星の連星が形成され、連星ブラックホールに進化する過程を発見した。さらに2019年度までの我々の計算では、近傍での散開星団起源の連星ブラックホール合体の合体率を求めるために、金属量が異なる星団について、重力N体シミュレーションコードNBODY6++GPUを用いて星団の進化を計算した。また、各金属量の星団が形成される典型的な宇宙年齢における星形成率密度を考慮することで、近傍での連星ブラックホールの合体率を推定した。その結果、散開星団起源の連星ブラックホールの合体率は重力波観測の結果とよく一致していることを発見した。そこで、我々は次の課題として連星ブラックホールのスピンについて調べる。低質量星団起源の連星ブラックホールは観測で得られるブラックホール連星のスピン分布を説明できるかどうかについて、シミュレーションを行い、議論することを計画している。

課題名 GPU加速DNSコードを用いた正方形ダクト乱流の直接数値計算
氏名(所属) 関本 敦(大阪大学 基礎工学研究科)
利用システム Reedbush-L
正方形ダクト内乱流の平均流には、主流に垂直方向の二次流れが生成する。これは、乱流中の大小さまざまなスケールの渦が側壁の影響を受け、それらの統計的振る舞いに異方性が生まれるためである。ナビエ・ストークス方程式をモデルを使わずに解く直接数値計算(DNS)によって精度の良い検証データベースを作成することは、乱流の統計法則の基礎的研究、及びより高精度な乱流モデルの開発のために重要である。本研究では、GPUデバイスを利用して、高レイノルズ数のダクト乱流の高精度数値計算を行い、乱流渦の階層構造と二次流れの関連性について着目する。

課題名 Couette-Poiseuille 流れにおける大規模構造の解析
氏名(所属) 関本 敦(大阪大学 基礎工学研究科)
利用システム Oakforest-PACS
逆圧力勾配のある壁面乱流は、飛行機やガスタービンなどの翼形上において見られ、その乱流統計法則に及ぼす圧力勾配の影響については未解明であり、乱流モデルの精度も良くない。本研究では、逆圧力勾配がある壁面乱流モデルとして、Couette-Poiseuille流れに着目する。この流れは、壁面駆動のCouette流れに圧力勾配をかけることで、一方の壁面で逆圧力勾配がかかり、流れが剥離する。これによって、剥離点付近での乱流構造と流れの剥離機構について詳細な知見が得られるものと考えられる。本研究では、Couette-Poiseuille流れの直接数値計算(DNS)を行い、様々な圧力勾配下での壁面乱流における大規模構造について解析する。

課題名 随伴変数法とベイズ最適化によるTop-Seeded Solution Growth法を用いたSiC結晶成長における断熱材分布最適化
氏名(所属) 竹原 悠人(大阪大学大学院 基礎工学研究科)
利用システム Reedbush-H
シリコンカーバイド(SiC)結晶は高い熱伝導率、幅広いバンドギャップといった優れた性能から注目を集めるパワー半導体である。パワー半導体としての性能を保証するために、欠陥の少ない高品質SiC結晶を作製する必要があり、高品質SiC結晶の作製方法としてSiとCから成る溶液から作製するTop-Seeded Solution Growth (TSSG)法がある。我々のグループはTSSG法において溶液表面における温度差より駆動されるマランゴニ対流が結晶近傍で支配的となり、結晶成長速度を不均一化させることを解明した。このマランゴニ対流を抑制するために溶液内温度分布を最適化する必要がある。温度分布を最適化するためのパラメータとしてはるつぼ周りに配置された断熱材の熱伝導率を選択した。しかし、熱伝導率の分布は無限自由度を持つパラメータであり最適化が困難である。そこで本研究では随伴変数法とベイズ最適化を組み合わせることで、無限自由度を持つパラメータの実現可能な大域的最適化に取り組む。

課題名 渦電流-熱伝導連成解析システムの構築と包括的な高速化・高度化
氏名(所属) 杉本 振一郎(八戸工業大学)
利用システム Oakforest-PACS
並列電磁界解析ソルバADVENTURE_Magnetic (AdvMag)の高周波電磁界解析機能において医療応用を見据えた高速化・高度化に取り組み、2018年度のOakforest-PACSスーパーコンピュータシステム「大規模HPCチャレンジ」にて1,280億自由度の数値人体モデル(解像度0.25 mm)を15分で解析することに成功した。しかし、高周波電磁界解析に比べて収束性が非常に悪い渦電流解析ではいまだ10億自由度程度の解析実績しかなく、大規模な電磁界-熱伝導連成解析の応用範囲が狭かった。本課題では、渦電流解析に高周波電磁界解析で蓄積したノウハウを導入することで収束性の改善、および高速化に取り組み、計算時間の短縮と、扱える自由度を増やすことを目指す。また、AdvMagの渦電流解析機能と並列熱伝導解析ソルバADVENTURE_Thermalを用いた連成解析システムを構築してその高速化・高度化に取り組むことで、医療分野だけでなく工業分野などへも1億自由度規模の電磁界-熱伝導連成解析システムの応用分野を広げる。

2020年度(インターン)

課題名 単眼カメラによる距離推定技術に関する研究
氏名(所属) 牛 昭峰(奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科)
利用システム Reedbush-H
Depth estimation plays a significant role in 3D reconstruction and scene understanding. However, depth cameras or depth sensors have lots of limitations, such as high power consumption and restricted operating ranges. These limitations will be solved if depth estimation can be achieved based on RGB images only. The main purpose of my research is to improve the performance of depth estimation and obtain highly accurate depth information based on RGB images.

課題名 繰り込み群による冷却極性分子系での量子スピン液体実現可能性の探索
氏名(所属) 福井 毅勇(東京大学大学院 理学系研究科)
利用システム Oakforest-PACSOakbridge-CX
本課題は、光格子中に閉じ込めた冷却極性分子系において量子スピン液体状態が実現するか否かを汎関数繰り込み群の大規模並列計算により数値的に明らかにするものである。冷却分子系は分子間の双極子相互作用のために、最近接相互作用のみを考えた固体物理における量子スピン液体模型から基底状態が大きく変わりうる。双極子型の相互作用をする量子スピン液体の模型(Kitaev模型)がスピン液体状態を取るのか否か調べることは、模型の非可解性と相互作用の長距離性から困難であった。本課題は、汎関数繰り込み群法によりこの問題を解き明かし、実験の提案を目指すものである。

課題名 極低温推進薬の軌道上貯蔵・輸送に向けた減圧沸騰現象の解明と予測手法の開発
氏名(所属) 谷 和磨(東京大学大学院 工学系研究科)
利用システム Oakbridge-CX
軌道上での極低温推進薬管理技術の確立に向けた、大型タンク内における沸騰凝縮を伴う気液二相熱流動現象を解明する。界面張力が重力を卓越する宇宙空間では相変化による液体挙動や圧力変軌道上での極低温推進薬管理技術の確立に向けた、大型タンク内における沸騰凝縮を伴う気液二相熱流動現象を解明する。界面張力が重力を卓越する宇宙空間では相変化による液体挙動や圧力変動の経験的な予測が難しく、適切に流体機器を運用できない危険性がある。そのため、昨今計画されている長期の宇宙ミッションの実現には、こうした相変化現象を予測する必要がある。しかし、実機寸法の大型タンクでの沸騰試験データが不足している上、極低温推進薬の熱流動特性に基づいた定量的な大型タンク内現象予測手法は、沸騰現象(小寸法)とタンク(大寸法)のスケールの違いから計算コストも高く未だ確立されていない。 本利用課題では、VOF法をベースにした自由表面流用数値流体解法であるCIP-LSMを改良し、大型タンク内での相変化現象を予測する手法を開発する。地上での極低温流体用の大型タンクを用いた減圧沸騰試験の結果と比較することで予測手法を評価する。こうして構築された数値流体解法を用いて、微小重力環境での相変化を伴う熱流動現象を明らかにする。動の経験的な予測が難しく、適切に流体機器を運用できない危険性がある。そのため、昨今計画されている長期の宇宙ミッションの実現には、こうした相変化現象を予測する必要がある。しかし、実機寸法の大型タンクでの沸騰試験データが不足している上、極低温推進薬の熱流動特性に基づいた定量的な大型タンク内現象予測手法は、騰現象(小寸法)とタンク(大寸法)のスケールの違いから計算コストも高く未だ確立されていない。 本利用課題では、VOF法をベースにした自由表面流用数値流体解法であるCIP-LSMを改良し、大型タンク内での相変化現象を予測する手法を開発する。地上での極低温流体用の大型タンクを用いた減圧沸騰試験の結果と比較することで予測手法を評価する。こうして構築された数値流体解法を用いて、微小重力環境での相変化を伴う熱流動現象を明らかにする。

課題名 電気的・熱的効果によるキャビティ音制御の数値解析
氏名(所属) 大竹 克也(豊橋技術科学大学大学院 工学研究科)
利用システム Oakbridge-CX
新幹線の台車部などはキャビティと呼ばれる窪み部を有し、窪み部入口より発生した渦により自励振動が発生し、強い騒音が発生する場合があり、低減手法の確立が課題となっている。近年、キャビティ音の制御にプラズマアクチュエータ(PA)が注目されている。また、PAのオン・オフを切り替える間欠制御により、キャビティ音の低減に加え消費電力の削減も期待できる。PAをオン・オフに切り替えた際の流れ場に着目し、発生音のメカニズムも説明出来る。また、騒音の低減に加え、キャビティ音の音響エネルギーを有効利用する方法の一つとしては、熱音響ヒートポンプ現象の利用が有益であると考えられる。熱音響ヒートポンプ現象の利用により、騒音低減と狭い流路を有する多孔体や平板列(スタック)に生じた温度差を用いた発電が可能であると考えられる。 本課題では,空力音直接数値計算を用いて、PAによるキャビティ音のフィードバック制御を行い、PAの適切な制御条件を明らかにすることを目的とする。また、キャビティまわりの流体音響解析とスタックの熱伝導解析を連成した解析を実施し、キャビティ音により駆動される熱音響ヒートポンプ現象の解明を目的とする。

課題名 階層型直交格子法と壁面モデルを用いたLBMによる航空機高揚力装置の空力音響解析
氏名(所属) 前山 大貴(東京大学大学院 工学系研究科 )
利用システム Oakbridge-CX
近年の環境問題に対する意識の高まりから、より低騒音・低燃費な航空機の実現が望まれている。航空機の空力設計では、主翼コード長ベースで10の7乗から10の8乗にもなる高レイノルズ数条件での空力解析が必要となり、流れ場から発生する空力騒音の予測には、非定常な境界層剥離や再付着現象が支配的な流れ場を高精度に解析することが要求される。音の直接計算が可能な非定常流体解析手法として、格子ボルツマン法(LBM)が注目されている。LBMは計算アルゴリズムが単純で、大規模並列計算に適しているという特徴をもつ一方で、直交格子法を用いた数値解析手法であるため、壁面近傍に発達する乱流境界層の解像が困難である。航空機実機レベルの高レイノルズ数乱流境界層流れを高精度に解析するためには、境界層内層域の乱流をモデル化することが必須である。本研究では、任意形状に対して適用可能なLBMの壁面モデルを新たに開発・実装し、航空機機体空力騒音の主要な発生源である高揚力装置の空力音響解析を行う。複雑な形状に対しても完全自動で格子を生成可能な階層型直交格子法と組み合わせることで、LBMを用いた航空機空力騒音の予測手法の確立を目指す。

2020年度(後期)

課題名 PaCS-MDに基づく効率的リガンド結合経路探索法の開発
氏名(所属) 原田 隆平(筑波大学 計算科学研究センター)
利用システム Reedbush-H
本研究では、 リガンドと標的タンパク質の結合過程を効率的に抽出する計算手法を開発する。 具体的には, タンパク質の遷移経路をレアイベントとして効率的に抽出する目的で開発した「Parallel Cascade Selection Molecular Dynamics (PaCS-MD)」 をリガンド結合経路探索に拡張する。 PaCS-MDは、 遷移確率が高い分子構造を選択し、 短時間MDにより構造リサンプリングを繰り返すことで、効率的に遷移経路を探索するレアイベントサンプリング法である。PaCSMDを標的タンパク質とリガンドの複合系に適用可能なように拡張する。拡張にあたり、熱揺らぎの範囲において結合経路探索を加速するため、リガンドが複数存在する高密度環境下でPaCSMDを実行する。最終的に、リガンド結合経路を効率的に探索する計算手法としてPaCS-MDを拡張し、Ligand-Docking-PaCS-MD (ld-PaCS-MD)を開発する。

課題名 Coarse-graining Model for Monte Carlo Simulation of Spin Configurations in Ferromagnets
氏名(所属) 李 其放(東京大学 新領域創成科学研究科 )
利用システム Oakbridge-CX
Spin configuration affects the the magnetic moment and related physical properties in solid-state devices. Markov chain Monte Carlo (MCMC) simulation is a common approach to study the dynamic behaviors of spins. In this research, long-ranged interactions are simplified by stochastic cutoff algorithm. A new algorithm of coarse-graining will be developed to reduce the degree of freedoms of spins in the entire system. This algorithm will also be applied for design of ferromagnet devices.

課題名 降着円盤における微小スケール乱流の特性解明
氏名(所属) 川面 洋平(東北大学 学際フロンティア研究所)
利用システム Oakforest-PACS
降着円盤は天体の周りを回転しながら落下するプラズマの流れである。特にブラックホールにおける降着円盤は、直接観測することが困難なブラックホールの情報を間接的に教えてくれる重要な存在である。降着円盤は磁気回転不安定性(MRI)によって駆動される乱流状態になっていると考えられているが、この乱流の持つ特性にはまだ未解明な点が多く存在する。我々の最近の研究によって、降着円盤の観測結果を解釈するためには、乱流における圧縮的な揺動と非圧縮的的な揺動の比を知る必要があることが明らかになっている。本研究の目標はこの比を数値計算によって求めることである。しかし圧縮的な揺動と非圧縮的的な揺動の比を求めるためには、これまで行われてきたMRI乱流のシミュレーションを遥かに上回る解像度のシミュレーションが必要となる。そこで本研究では、我々が開発した超高並列性能を持つ電磁流体力学コードを用いて圧縮的な揺動と非圧縮的的な揺動の比を得ることに挑戦する。

課題名 Large-eddy simulations of nearshore offshore wind farms and their interactions with atmospheric boundary layer
氏名(所属) Goit Jay Prakash(近畿大学 工学部)
利用システム Oakbridge-CX
Offshore wind energy has received larger interest, motivated by the fact that offshore sites are generally characterized by higher and uniform wind speeds, thus, leading to higher capacity factors and lower fatigue loads experienced by turbines. The current study employs large-eddy simulations to investigate the effect of onshore terrain on the evolution of ABL—when it transitions from land to sea—and evaluate how that influence the performance of offshore wind farms in the nearshore region.